多摩グリーンボランティア森木会
 
  多摩市みどりづくり市民協働体制の実践。多摩市の緑を守り、人と自然が共生するまちづくりをすすめ、良好な生態系を次世代に引き継ぐ
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 [中級講座] 刈払い機の安全な使用方法

 
 
(はじめに)
  (1)普段使用していても十分に注意が必要。慣れている人ほど危険な場合もある
  (2)講習を受けたから、他のところでもやっていたから、慣れているから、よく知っ
   ているからという人ほど安全確認を見落としがちである
  (3)ボランティア活動なので、作業効率よりも安全性を重視して作業をすることが大
   事である
  (4)あまり芝刈り機の操作に気をとられすぎないこと
   例えば、駐車場の草刈りで自動車を傷つけてしまったり、業者と間違われて住民
   から騒音問題等で苦情をうけることもあるため周囲の環境に気を配り、ブルーシ
   ートで自動車をガードしたり作業場所を配慮するなどの安全対策の工夫が必要で
   ある
  (5)周囲の安全に配慮しつつも、自分の身を守ることも大事、常に意識すること
 
(DVD上映)
  (1)ゼノア(コマツ)製作。労働安全衛生法で企業として作業をする場合は、講習を
   受けさせなさいという約束があり、その時に用いられるDVDである。われわれ
   はボランティア団体なので、修了証も教育のための講習もいらないが、安全教育
   として振動障害の知識と教育が必要と考えている、またさらに詳しく教育講習を
   うけることも可能である
  (2)上映内容「刈払い機の安全作業の基本」「服装」「持ち運び」「給油」「エンジ
   ン始動」「刈払 い方向」「かん木を切る」「足の運び方」「石や異物がありそう
   な時」「作業者の配置」「草などがからまった時」「休憩時、作業終了時」「点
   検、整備」
 
(第1章 肩掛け式刈払い機に関する知識)
  1.肩掛け式刈払い機の種類と構造(テキストP2)
 
    (エコプラザ多摩にて)
 
  (1)種類
    両手ハンドルタイプ(最もよく使われているタイプ)、ループハンドルタイプ、
    ツーグリップタイプの3タイプ
    購入時にできるだけ、自分の身体にあったものを選ぶ、構えたときに刈刃の面
    が平行になる高さで調節ができるものを選ぶ
  (2)エンジン形式
    動力伝達部は、クラッチは内装タイプ、回転が上がるとクラッチが繋がる(遠
    心クラッチ)2サイクルエンジンがほとんどであるが、4サイクルエンジンは
    低音、低排気で2サイクルよりも少し高価である
  (3)刈刃部
    必ず持ち運ぶ時はカバーをつけること作業時は身体に吊り下げたりしないよう
    にして、場所を決めて保管する
  (4)操作部
    スロットルレバー、エンジンストップボタン、チョークレバー、ブレーキはな
    いので、回転数を下げてエンジンをストップさせる
  (5)安全装置
   「飛散防止カバー」は、できるだけ刈刃の近くに設置する刈刃の近くでは草が絡
    みやすくなるが、離して設置しないこと。装着義務のため確実に取り付ける
   「緊急離脱装置」は、肩掛けをワンタッチで取り外すことができる転倒時や緊急
    時に身体からすばやく取り外す装置使用前に動作確認をおこなう
 
  2.刈払機の選定(テキストP3)
  (1)刈刃の選定
    チップソータイプのものが多いナイロンコードを使っているところもあるが、
    雑木林を扱う場合は、チップソータイプがよいナイロンコードは石ころを飛ば
    しやすく、力も弱いので、畑などでの使用がベター
 
(第2章 作業に関する知識)
  1.作業計画の作成(テキストP4)
   (ア)作業計画を事前に作り、何人で、何台で、世話役の配置、どの場所をいつやる
    か計画を立てて実施する
   (イ)作業者は大きな音がするため、隣接する作業者や周囲の安全確認ができない
    (わかりずらい)ため、作業者も世話役人も笛を携帯して合図に使用するかま
    たは、長い棒で(熊での柄などで)作業者の後ろから背中をたたいて声をかけ
    る(作業者の近くには直接近寄らない)
   (ウ)作業者は声をかけられたら、エンジンの回転を落とす
    (またはエンジンを切る)
 
  (1)服装
    袖仕舞い、裾仕舞いで身体からブラブラしたものを身につけない
    詳細はテキストを参照
  (2)環境の整備
    作業場所を事前に確認し、当曰安全に作業できるように、また、危険箇所への
    目印や下草刈りなどの事前作業をおこなう
  (3)上下作業の禁止
    上下で作業をおこなうと、落下物の危険があるため、作業をおこなっている斜
    面の下方には、他の作業者を立ち入らせない
  (4)悪天候時の対応
    雷がなり始めたら、近くでなくても、ただちに作業を中止して非難する
    大きな木の下は避けて避難する大きな窪地などで待機するまだ雷が遠くても安
    全なところに非難する自動車がある場合は自動車の中に避難する
  (5)作業時間について
    晴天時であっても長時間作業はしない熱中症などのリスク
    −回の平均作業時間20分休憩10分
    一曰の全体作業時間2時間まで
    上記作業時間を遵守する、また振動障害予防のために、作業計画作成が重要で
    ある(振動障害については、テキストP22参照)
  (6)緊急時の連絡体制について
    緊急連絡先や救急病院の確認、作業者への周知
 
  2.刈払い機の取り扱い(テキストP6)
  (1)持ち運び
    十分な距離を保つ、傾斜地では刃先を谷側へ向けて持ち運ぶ、移動中刈刃は必
    ずカバーを装着して運ぶ
  (2)燃料の作り方
    2サイクルの場合混合(例えば25:1)燃料をつくる2サイクルオイルの種
    類は、鉱物系よりも植物系のほうが環境にやさしいが高価である
    混合後は揮発しやすいので早めに使用する混合比25:1の場合、ガソリン1
    リットルに対して、2サイクルオイル40ミリリットルで、専用の混合燃料
    ケースを使用して混ぜる
    混合燃料は少なめに混合し、なくなったら、その都度混合して使用する
    作業後は、ガソリンタンクから混合燃料をすべて抜いて別の密閉タンクに保管
    する
    エンジンを始動して刈払い機内部に残留した混合燃料を全て使い切ること(内
    部に残留するとオイルが目詰まりし、次回エンジンがかかりにくい)
    作業中蚊取り線香はNG(火気厳禁)
    取扱説明書で混合比を確認しておくこと
  (3)始動点検と始動
    刈刃カバーをはずす→エンジン始動→移動の際は刈刃カバーを装着する
    エンジン始動前に刈刃の欠けやヒビを確認し、異常がある場合は、新品と交換
    する。交換しないと回転のバランスが狂いやすく、回転のブレが発生して危険
    である
    使用後の刈刃を目立てしたり、刃を砥いだりはせず、新品と交換する
    エンジン始動時は周囲の安全を確認し、刈払い機を地面に置くか、メインフレ
    ームをしっかり持ってスターターを引く
    チョークは夏場むやみに使用しない(エンジンがそれほど冷えていない場合
    も)また、むやみにスターターを回さず、始動しない時は、よく機械の状態を
    確認してみること
    プラグを点検しプラグの隙間を確認する0.7mm程度の隙間を作る(シック
    ネスゲージもしくはハガキを−枚用意して隙間の調整に代用できる。隙間が広
    い時は、ゴムハンマーなどで調整する)
    むやみに回転を上げて空ふかししないこと(燃料がかぶる原因になる)
 
  3.刈払い作業の基本動作(テキストP10)
   前進は刈った分だけ、右足(傾斜地では山側)から、スリ足でおこなう
   前足を後ろ足が追い抜かないようにすり足で進めるまた斜面地など両足が揃わな
   いように、間隔を意識して開け、歩幅が広くなりすぎないように注意する
   また、すり足と刈刃は一定の距離を保って作業する
   地面の状況が分からない時は、二段刈りや三段刈りをおこない何度か同じ場所を
   往復して進む
   刈払いの進行方向の終点まで行ったら、連続使用を避けるため、刈払い始点の位
   置まで戻り、右に列を変え、刈り始める
   どのくらいの高さまで刈るかは、きれいに草が−つ残らず刈り取るイメージでは
   なく、生物多様性のために、5センチ程度にして刈るのがよい。土壌昆虫を守る
   意識をもつ
   水辺で草刈りをする場合は、15センチ程度の高さで刈る、地面スレスレでは、
   蛍が育たない
   回転中の刈刃が障害物に当たって、刈刃の回転の反対方向へ跳ね返されることを
   キックバックという
   キックバックは刈払い機の正面から右側90度で起こりやすいので、この部分を
   障害物に接触させないようにする
 
  4.刈払い作業の手順(テキストP10)
   作業者同士は5メートル以上離れて作業すること
   キックバックを予測して距離をとって作業すること
 
  5.刈払い機作業の方法(テキストP11)
   刈払い作業は、刈刃を右から左へ一方方向のみで刈り、往復刈りは禁止、刈刃は
   左斜め前の3分の1程度の刃先を使用する右側半分の刈刃は使用しない
   また刈刃は左に傾けて切り落とした草を刈刃の上に乗せて左へ運ぶように刈る
   刈刃が地面と平行にしたままだと、往復刈りになり、またキックバックの危険が
   ある
   一度に刈り取る範囲は、一般的に幅1メートルから1.5メートルぐらいであ
   る。この最大範囲からでて作業しないようにする。周囲に他の作業者がいる可能
   性があるので、範囲外で気になる箇所があっても横道しないで作業をすすめる。
   気になった部分は後から作業するように徹底する。
 
  6.その他の留意事項(テキストP13)
  (1)かん木の切断
    直径8センチまでとしてあるが、太めの場合はキックバックを防止するため、
    安全を考慮して作業しないようにする
  (2)作業中のトラブル
    必ずエンジンを止めて点検する
  (3)休憩時、作業終了時
    刈刃が見える位置で確実に置く   (4)蜂刺され防止
    蜂の羽音がしている場合は危険区域とすぐさま判断してその場から遠ざかる
    遠ざかる時は、静かに後に下がる、その場にしゃがんだり、ふり返って逃げた
    りしないこと
    またヘアスプレーやヘアトニック、香水、ジュース(甘いもの)に蜂はよって
    くるので避けること
    蜂やマムシの場合は、針を抜いて、専用器具「ポンピングキット」を使用し注
    射器でポンピングし毒素を吸いだす(インターネット販売や大型スポーツ用品
    店で購入可能(インセクトポイズンリムーバーなど何度でも洗浄して使用可
    能)
    ミネラルウオーターで洗い流す等の応急処置をおこなう常にキットを用意して
    おくこと
    注意点として他人の血を絶対に触らないこと虫さされ等の薬品は使用しないこ
    と、毒を吸い出してもその曰のうちに必ず病院で受診すること
 
(第3章 点検整備)(テキストP17)
  (1)毎曰の点検
    ボルトの緩み、刈刃のヒビや割れなどの損傷、燃料フィルターの目詰まりの確
    認、エアクリーナー、ギアケースの清掃
    ※「毎曰」とは作業した曰毎のこと
    エアクリーナーは灯油やガソリンで洗って乾かす混合燃料は使用しない
    刈刃のまわりに草や土が付着していないかどうか確認する付着していると錆の
    原因になるワイヤーブラシやブラシなどでこする
  (2)毎週の整備
    グリスアップ、燃料フィルター、ガソリンタンク清掃
  (3)毎月の整備
    分解清掃、スバークプラグ、シリンダー清掃、稼動部の磨耗チェック
  (4)故障の発見
    故障の前兆はいつもと違う匂いや異音で判断できる場合が多い
    異常を感じたらすぐに作業を中止しエンジン停止後、点検をおこなう
    故障時の点検は、取扱説明書を見てトラブルシューティングをおこなう
    取扱説明書は工具箱に入れておくなど常に身近に置いておくこと
    自分で補修できない場合や、メーカーに間合せる場合は、機種名、製造番号、
    状況写真で問合せや必要な部品を購入する※異常個所をデジカメで状況を撮影
    しておくこと
  (5)故障診断
    機種ごとの故障診断は取扱説明書を参照のこと
 
(第4章振動障害について)
  1.振動障害の原因と症状(テキストP21)
   振動障害の原因は、さまざまな要因が絡みあい、また発症の内容や程度について
    もさまざまである、また症状が重くなると、回復が難しいといわれる
  2.振動障害の予防措置(テキストP21)
    作業時間一曰2時間を遵守すること
    移動手段にバイクを使用する場合は、往復の運転時間もカロ味する
    前曰に深酒しない
    作業後は水分を補給するお風呂で十分に筋肉をほぐす
  ※参考資料
   「チェンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害の予防について(抄)」
   (テキストP23)
   「林業における刈払機使用に係る安全作業指針」の周知徹底について
   (テキストP26)
 
(実習作業)
 1.刈払い機実習
  (1)混合燃料の準備
 
    (よこやまの道にて)
 
    混合比25:1の場合、ガソリン1リットルに対して、2サイクルオイル40
    ミリリットルで、専用の混合燃料ケースを使用して混ぜる
    作業中蚊取り線香はNG(火気厳禁)
 
  (2)作業前点検
    刈刃カバーをはずす
    エンジンオイル量、メリ刃のヒピや欠け、ネジや六角ボルトのゆるみの確認
 
  (3)エンジン始動
    冬場の場合、チョークを引いて空気を遮断しておく
    夏場の場合、スロットを少し開けて、チョークは切っておく
    エンジンスタート後はアイドリングが安定するまでスロットを少し開ける
    刈刃の回転にプレが無いか確認する
    個々機体によって癖があるため、癖をつかんでおく
 
  (4)エンジン停止
    刈刃カバーを付けて移動準備をする
 
  2.実作業開始
  (1)作業導線
 
    (エコプラザ多摩にて)
 
    真っ直ぐ刈り進み、最初の場所に戻ってから右へ移動する(左へ移動しない)
    作業範囲が重なるような導線をとる
    歩幅は慎重にスリ足で進め、早すぎると虎刈りになるため、注意が必要(足の
    運びは刈刃が半分ぐらいずつずれていくような感じで前へ進める)常に前足が
    先行するように後ろ足が前に出ないようにする
 
  (2)刈刃の止め方
    ブレーキは装備していないので、刈刃の回転停止は自然に任せる
    どうしても早く回転を止める場合は、スロットをオフにして草葉などに刈刃全
    体を押し付けて回転を止める(負担がかかるため多用しない急ぐ時や緊急時の
    み)
 
  (3)その他の留意事項
 
    (よこやまの道にて)
 
    スロットを上げてある程度回転数を上げないと切断できない(機械ごとに癖が
    あるため臨機応変に対応する)
    一般に足の運びが速くなりすぎると虎刈りになってしまうため、刈刃を横に動
    かすスピードと歩幅の進行速度をバランスよく保つことが大切である
    進行方向の地面が不明瞭の場合は、キックバックの危険性があるため、作業当
    曰までに、カマである程度刈り取ってから、石や木を確認しておくと安全に作
    業が可能である
 
  (4)作業終了後の点検整備
 
    (エコプラザ多摩にて)
 
    エンジン停止後、周りの草や土を払う、刈刃をはずして回転中心部の内部をワ
    イヤーブラシやブラシで清掃する
    飛散防止カバーを清掃する
    混合燃料を抜く
    エンジンを始動して内部の残留燃料を燃焼させる
    オイルフィルター、エアクリーナーの清掃
    自然にエンジンが停止するのを待つ
 
※このレポートは、可能な限り正確にお伝えしていきますが、参加者のメモ書きやノートを抜粋していますので、説明内容が不足していたり、語句や名称について、不正確な場合もありますので、予めご了承ください。

 
 

 
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